皆様こんにちは。前航空幕僚長の田母神俊雄です。今回公式ホームページを開設するに当たり一言ご挨拶申し上げます。ご承知の通り私は昨年10月末日政府見解と異なる歴史認識の論文を公表したということで航空幕僚長の職を更迭され、11月3日付で定年退官致しました。私が日本の将来のためにと信じて実施してきたことで更迭されたことは大変残念でありましたが、あれから7ヶ月以上も経ちましたが、今も私に対して多くの講演要請があり、また執筆、インタビューの依頼も多く、国民の歴史認識は少しずつ変わっているかもしれないと思っているところです。今はこれで良かったと思っています。

私は自衛隊に在職しながら、自衛隊が世界の軍とは違い、国際法で動けないことに常々疑問を持ってきました。ご承知の通り世界の軍は国際法で動きます。国際法とは条約と慣習の集合体であり、国際法という名前の法律があるわけではありません。そこでは主にやってはいけない事が決められています。世界の軍は禁止事項以外は何でも実施できるのです。ですから新たな事態が起きても即時に対応することが出来ます。これに対し自衛隊は国内法に任務を規定しないと動けないということになっています。世界の軍が禁止規定(ネガティブリスト)で動くのに対し、自衛隊は根拠規定(ポジティブリスト)で動くのです。しかしどんなに細かく任務を規定しておいても必ず決めていない事態は次から次に起こります。このとき自衛隊は新たな事態に対応することが出来ません。数年前にイラクで奥克之大使以下2名の外交官が殺害されたことがありました。このときも自衛隊法に大使館警備という任務が規定されていないことにより自衛隊の部隊をイラク大使館の警備に使うことが出来なかったのです。よその国であればこのようなときにすぐに軍を派遣して大使館の警備を実施することが出来ます。しかし日本の場合は国内法の縛りでこれを実施することが出来ません。自衛隊をいろんな任務に使い始めるとやがて戦争になると考える人が多いからだと思います。本当は自衛隊が国際法で動ける方が、日本の国益を守ることが出来るのです。

私は日本人がそう考える背景に誤った歴史観があると考えてきました。戦前の日本は軍国主義で、日本の自衛隊が強くなる、また自由に動けるようになるとやらなくともいい戦争に国民が巻き込まれるという考えです。私は日本が侵略国家だったためにアメリカと戦争することになったのではないと考えています。そのことは私が更迭されることになった論文でも、退官後に執筆した何冊かの本の中でも詳しく説明しております。私たちのおじいちゃんの世代がことさら侵略的であったなどということはないのです。歴史は戦勝国がつくるのです。戦争に負けた日本は一時アメリカから見た一方的な歴史観を強要されます。しかしどこかの時点で日本の考える歴史を取り戻さなければ日本は衰退するだけだと思います。東京裁判を実施させたあのマッカーサーでさえ日本は安全保障のために戦ったのだと言っているのです。

歴史観の間違いにより戦後の我が国には未だに言論の自由がありません。それは日本の国を悪く言う言論の自由は無限にあるが、日本の国を誉める言論の自由がないのです。日本の国をどれほど悪く言っても国会が紛糾することはないし、マスコミが叩くこともありません。しかし日本の国を誉めたらどうでしょうか。国会でもマスコミでも大騒ぎになってしまいます。核武装すべきでないという意見があっても良いのです。しかし日本が自由民主主義の国であるならば、核武装すべきという意見もまたあっても良いのです。国を守ることについても言論の自由は大幅に制約されているのが我が国の現実だと思います。専守防衛、攻撃的兵器は持たない、集団的自衛権などについても意見をいうことがはばかられる様な状況です。言論の自由を確保していくことは政治指導者の責任です。偉大な政治指導者が出て日本の言論の自由を取り戻して欲しいと思います。日本の輝かしい歴史を取り戻して欲しいのです。

私は私たちの子供や孫の世代のために出来るだけ良い日本を残してあげたいと思います。日本は古い歴史と優れた伝統を持つ素晴らしい国です。いま日本人が総じて事なかれ主義に陥っていることに不安を感じています。目の前で困難な問題が起きなければそれで良いと思っているように感じられます。「志は高く、熱く燃える」リーダーの出現が待たれます。

2009年06月16日
第29代 航空幕僚長